JACKROSE/ジャックローズ
名前の由来は「ジャック・ローズ」というバラの品種である説が有力です。
僕も言われるまで気づかなかったんですが映画「タイタニック」のディカプリオ
の役名が「ジャック」、ヒロインのケイト・ウィンスレットの役名が「ローズ」ってことで
「ジャックローズなのですか?」と聞かれたんですがそれは違います。
本来のレシピは

ジャック・ローズ
アップルジャック    1/2
グレナデンシロップ  1/4
ライムジュース     1/4
    以上をシェークし、カクテルグラスに注ぐ
です。
ベースになっているアップルジャックとはアメリカ産リンゴのブランデー
なのですが非常に手に入りにくく、ほとんどのお店がフランス産のリンゴ
ブランデー「カルバドス」を使用しているのではないでしょうか?
ル・クラブもカルバドスを使用します。アップルジャックは飲んだ事ありません。
グレナデンシロップとは「ザクロ」のシロップの事でカクテルに多用します。
市販していますが、市販のほとんどの物が人工的な味わいで、果汁はほとんど
入っていません。入ってても数%です。
ル・クラブはこのグレナデンシロップを自家製で作ります。自家製ということは
生のザクロから作るわけで味も香りも段違いなわけです。
というわけでル・クラブのレシピだとこうなります。

ジャック・ローズ
カルバドス             3/5
自家製グレナデンシロップ  1/5
ライムジュース         1/5
    以上をシェークし、カクテルグラスに注ぐ

分量が変わっているのは自家製グレナデンの糖度が高く、全体バランスを
とるためです。自家製グレナデンシロップは毎回作る度に甘味も味わいも
違ってくるので、その度にバランスを考え直します。毎回バランスを考える事
がカクテル作り全てにおいての共通事項で非常に大事な所です。
ベースのカルバドスにはなるべく甘味を伴う長期熟成のカルバドスを使用
します。出来れば中心産地のペイ・ドージュ地区産が理想ですね。個人的に
カルバドスを飲む時はドンフロンテ産が興味深い所ですが、カクテル作りでは
別の話になります。また、しっかりした作り手のACカルバドスでも良いでしょう。
単一ヴィンテージ物よりブレンド物の方がミックス時にバランスを崩しにくいように
思います。1985年などは特にリンゴの出来が良く、手頃で美味しいカルバドス
を生んでいます。ベースの値段的にいい頃合かもしれませんが、ル・クラブレシピ
では味をまとめにくかったですね。あくまでもうちのレシピの話です。
ライムジュース・・・これはもう季節の味には逆らえません。納得いかないなら最初
から作らない!くらいの意気込みでチャレンジしましょう。そう、チャレンジです。
その季節の味を受け入れ、そして脳ミソに汗をかいて考えましょう。それでいいのです。
これはどのフルーツも同じです。しかしライムの味の違いに悩んでいるバーテンダーは
多いと思います。しかしまず文句を言う前に早起きして誰よりも早くライムを買いに行けば
少しは選ぶ選択肢が増えるというものです。果物屋に電話で注文し配達してもらうのは
この機会にやめてしまいましょう。中には「果物屋にいいものを選んでもらっている」という
人もいました。愚の骨頂です。果物屋は見た目だけでしか良し悪しを選べません。
そこらへんの果物屋が実際にフルーツを絞ってカクテルを作っているわけありません。
毎日フルーツを扱っている私達にしか分からないものを、店頭販売の人間が分かるわけ
ありません。「果物屋に選んでもらってる」というのは、配達で楽をしている自分をかばう
為の言い訳です。フルーツは出来る限りの範囲でいいので、自分自身で選びましょう。

このカクテルでの本題・・・自家製グレナデンシロップの作り方
そんなに大げさなものではありません。煮詰める時の温度に気を付けるのと、アクをこまめ
に取る事です。
1、ザクロを3個買ってきます。真ん中にナイフで切り込みを入れ、切り込みに指を入れ
  本体を裂くように割ります。
2、ビニール袋で構わないので、割ったザクロの中の種を手で袋に集めます。集めるのは
  種だけです。白い果肉のようなものはなるべく排除します。
3、袋の中で種を手で潰します。赤いジュースが服などに飛び散らないようにして下さい。
  洗濯してもなかなか落ちませんよ。
4、まんべんなく種の周りのジュースを袋に集めたら、そのジュースを茶漉しなどで漉します。
5、そのジュースを火にかけます。弱火でじっくり煮詰めます。熱が均等に行き渡るように
  軽く混ぜながら煮詰めます。アクが混ざらないようにして下さい。アクが出たら丁寧に取り
  去ってください。混ぜる時の道具とアクを取る時の道具は金属は使わないで下さい。
  混ぜ棒は割り箸で構いません。アク取りは竹のスプーンが理想的です。なるべく金属類
  との接触を避けるのが僕の考えです。
6、ジュースが2/3まで煮詰まったら一旦火から下ろします。そのまま粗熱を取ります。放置
  しておけばいいです。
7、次は別の鍋でシュガーシロップを作ります。上白糖1kgに対してミネラルウォーター700ml
  くらいが目安ですね。それらを火にかけ弱火で煮詰めます。煮詰め具合はお好きなように。
  サラサラシロップが使い易いかトロっとしたシロップが使い易いかということです。肉眼で見て
  砂糖の結晶が見えなくなり「軽く煮詰まったかなぁ」くらいから2/3くらいまで煮詰まったくらい
  の間で考えましょう。火にかけている時の状態と、粗熱が取れた後、冷蔵庫で冷やした時では
  液体の質が違います。出来あがった後に好みの状態でなければまた煮詰め直したりしても
  いいのです。
8、煮詰めザクロジュースと自家製シュガーシロップが揃ったら、それらを鍋に入れ再煮詰め。
  ここからも好みなのですが、フレッシュ感をアピールしたければ10分前後煮詰め直すだけで
  いいでしょう。早めに使い切るのであればお薦めですが、あまり日持ちしません。日持ちしない
  といっても冷蔵庫で数ヶ月は全く問題ないです。日持ち重視ならば30分以上は煮詰めましょう。
  フレッシュ感は弱化落ちますが半年以上は楽に持ちますよ。
9、あくまでも目安であることをご了承下さい。日持ちするかどうかも本来は自分自身の舌で見極め
  るべきですからね。ザクロと砂糖の比率も色々試してみてください。あ、そうそう。ガムシロップは
  お薦めしません。せっかくのフレッシュザクロの味がもったいないです。まさかこれを見ているバー
  テンダーの方で、ガムシロップとシュガーシロップを同じだと思っていませんよね?まさかそんな
  バーテンダーいるわけないですよね。
10、この話をすると「大変だねー。」「手間だねー。」というバーテンダーがいます。お店的に原価的な
  問題はあるかもしれませんが、手間なんてほんの2時間程度です。要するに、たった2時間早起き
  すればいいのです。